高速道路料金の精算には、ETCカードを使うと便利です。本記事では、ETCカードとはどのようなカードなのか、作り方や使い方まで、ETCカードの基本を解説します。また、ETCカードを使うときの注意点も知っておきましょう。
ETCカードとは
ETCカードとは、どのようなカードなのでしょうか。
高速道路の通行や決済をスムーズに
ETCカードは、高速道路の通行や決済をスムーズにおこなうためのカードです。『ETC』のマークが入ったクレジットカードサイズのもので、高速道路料金(有料道路料金)の決済のみに利用できます。
ETCカードを、車内に取り付けたETC車載器(※)に挿入しておくと、料金所に設置してあるアンテナとETC車載器が通信して、ETCカードの情報を読み取り、自動で決済をおこないます。
そのため、自分で料金所の機械に入金したり、係員とやり取りしたりする必要がなく、スムーズに料金所を通過できます。
(※ETC車載器とは、料金所のアンテナと無線通信する機能を持っている、ETCカード専用の機械のことです)
割引を受けられる
ETCカードで決済をすると、高速道路料金の割引を受けられます。
項目 | 割引額 | 詳細 |
平日朝夕割引 | 平日朝6~9時・夕方17~20時の料金が最大50%割引 | ・NEXCO東日本・中日本・西日本が管理する地方の高速道路、および宮城県道路公社の仙台松島道路が対象 ・東京・大阪近郊は対象外 |
深夜割引 | 深夜0時~4時の通行料が30%割引 | ・NEXCO東日本・中日本・西日本が管理する全国の高速道路、および宮城県道路公社の仙台松島道路が対象 ・京葉道路・第三京浜道路・横浜新道・横浜横須賀道路は対象外 |
休日割引 | 休日の地方高速道路の通行料が30%割引 | ・NEXCO東日本・中日本・西日本が管理する地方の高速道路、および宮城県道路公社の仙台松島道路が対象 ・東京・大阪近郊は対象外 ・普通車・軽自動車・二輪車限定 |
上記以外にも、いろいろな割引があります。また、割引が適用される高速道路や条件は異なるため、NEXCOのサイトなどで調べておくとよいでしょう。
3種類のETCカード
ETCカードは3種類に分かれます。それぞれの特徴を知っておきましょう。
クレジットカード付帯のETC専用カード
クレジットカード付帯のETC専用カードは、もっとも一般的なETCカードです。クレジットカードの付帯カードとして、別途ETC専用のカードが発行されるもので、ETCカードのみを発行することはできません。
そして、ETCカードで決済した高速道路料金は、後日クレジットカードの利用代金と合算して請求されます。
クレジット機能が付いたETCカード
クレジットカードとETCカードが一体となった、クレジット機能付きETCカードも存在します。
ただし、クレジット機能を利用するには、毎回ETC車載器からETCカードを取り出さなくてはならず、少し手間がかかります。
クレジット機能付きETCカードの場合も、ETCカードで決済した高速道路料金は、クレジットカードの利用代金と一緒に請求されます。
デポジットが必要なETCパーソナルカード
ETCパーソナルカードは、クレジットカードを作りたくない人や、クレジットカードが作れない人向けのETCカードです。
ETCパーソナルカードを発行するには、ETCカードの月間利用額に応じたデポジット(保証金)を支払う必要があります。
ETCカードの月間利用額 | デポジット額 |
5,000円 | 20,000円 |
10,000円 | 40,000円 |
15,000円 | 60,000円 |
20,000円 | 80,000円 |
また、デポジット以外にも、年会費1,143円(税抜)が必要です。そのため、上記2種類のETCカードよりも、ETCカードにかかる費用が割高になる可能性があります。
ETCパーソナルカードで精算した高速道路料金は1カ月に1回、申込時に申請した口座から引き落とされます。
ETCカードのレンタルは可能?おすすめのレンタカー会社と注意点
ETCカードの作り方
ここでは、ETCカードの作り方を説明します。
クレジットカードと同時に申し込み
クレジットカード付帯型、またはクレジットカード一体型のETCカードの場合は、クレジットカードと同時に、ETCカードにも申し込むことで発行されます。
カード会社やクレジットカードの種類によって、ETCカードが無料で発行できる場合と、手数料や年会費がかかる場合があるので、申込前に確認しておきましょう。
クレジットカードとETCカードは、個別に発送されるのが一般的です。よって、クレジットカードだけが先に届き、1週間以上期間が空いてから、ETCカードが届くという場合もあります。
すでにクレジットカードを持っている場合
すでにクレジットカードを持っている場合は、新たにクレジットカードを発行する必要はありません。
手持ちのクレジットカードの発行会社に申請すれば、ETCカードが発行されます。
ただし、クレジットカードの種類によっては、ETCカードが発行できない場合があるので、事前に確認しておきましょう。
ETCカードのお申し込み|イオンフィナンシャルサービス/暮らしのマネーサイト
ETCパーソナルカードの申込方法
ETCパーソナルカードを作りたい場合は、以下の手順で申し込みましょう。
- 高速道路のSAにある、インフォメーションセンターや窓口で申込書を入手する
- 申込書に必要事項を記入し、ETCパーソナルカード事務局に郵送する
- ETCパーソナルカード事務局から郵送されてくる、デポジットの払込取扱票を利用して、デポジットを振り込む
- デポジットの振込後、2週間ほどでETCパーソナルカードが届く
ETCパーソナルカードの申込書を取りに行けない場合は、ETCパーソナルカード事務局に連絡をすれば、申込書を郵送してもらえます。
ETCカードの使い方
ここでは、ETCカードの使い方について説明します。
車載器にETCカードを挿入するだけ
ETCカードは、車内に取り付けた車載器にETCカードを挿入するだけで利用可能です。挿入をしておかないと決済ができないだけでなく、料金所のバーが開かないので注意しましょう。
車載器は3タイプ
ETC車載器は、3つのタイプに分かれます。
ETC車載器のタイプ | 詳細 |
2ピースタイプ | ETCカード挿入口や情報処理機能部、アンテナなどがすべてひとつの筐体(きょうたい※)に収められているタイプ |
3ピースタイプ | ETCカード挿入口や情報処理機能部などの本体とアンテナが分離しているタイプ |
ビルトインタイプ | 車の内装と一体化しているタイプ |
2ピースタイプはアンテナが本体と一体となっているので、無線通信が妨害されないように、ダッシュボード上に取り付ける必要があります。
3ピースタイプは、アンテナを無線通信しやすい場所に取り付ければ、本体は車内の好きな場所に取付が可能です。
ビルトインタイプは、車の内装にETC車載器を組み込む必要があるため、新車納入時にしか取り付けられない場合があります。
(※筐体(きょうたい)とは、電子部品や装置などの機械類を収める箱、外装のことです)
車載器を自分で取り付けるには
ETC車載器を自分で取り付けるには、以下の手順でおこないます。(※以下はおおまかな流れであり、各手順でさまざまな作業が必要となります)
- ETC車載器の取付位置を決める
- バッテリーのマイナス端子を外す
- 配線を加工する
- ヒューズボックスから電源を取り出し、通電しているヒューズを抜いて電源を差し替える
- ETC車載器をダッシュボードなどに貼り付け、電源を繋げる
ETC車載器は車両から電源を取るため、自分で取り付ける場合は、車両電源を取り扱う知識や工具が必要です。
きちんとした知識がないまま取り付けると、作業中にケガをしたり、料金所でETCが作動しなかったりといったトラブルが起こる可能性があります。自信がない場合は、店舗で取り付けてもらいましょう。
セットアップは登録された店舗のみ
自分でETC車載器を取り付けた場合でも、セットアップ(※)は、許可を受けた登録店舗でおこなう必要があります。
セットアップをしていないと、ETCカードを挿入してもETC車載器が反応せず、料金所を通過できないため、必ずセットアップをおこないましょう。
(※セットアップとは、ETC車載器を使用する車のナンバーなどの車両情報を、暗号化してETC車載器に登録する作業のことです)
ETCカード利用時の注意点
ETCカードの利用時には、以下の点に注意しましょう。
期限切れになっていないか
ETCカードを使用する前には、有効期限が切れていないか確認しましょう。ETCカードの有効期限は、カードの表面に『月/年』の順に記載されています。確認する際に、読み間違えないように注意しましょう。
通常はETCカードの有効期限が切れる前に、カード会社から有効期限が更新されたカードが届きます。もし、有効期限が迫ってもETCカードが届かない場合は、カード会社に連絡をしましょう。
ETCカードの有効期限について教えてください。 | よくあるご質問| 暮らしのマネーサイト
カードがしっかり挿入されているか
出発前に、ETCカードがETC車載器にしっかり挿入されているか確認することも大切です。
ETCカードがしっかり挿入されていないと、ETCカードの情報が読み取れず、料金所のバーが開かないことがあります。
また、ETCカードは挿入の向きが決まっているので、向きを間違えると認識されません。ETCカード挿入時には、必ず正しい向きを確認するようにしましょう。
ETCカードが車載器で認識されません。 | エポスカード よくあるご質問
ETCレーンの通り方に注意
ETCレーンの通り方にも注意が必要です。ETCレーンを通過するときには、時速20km以下に減速するのがルールとなっています。
ETC車載器のエラーで料金所のバーが開かなかったり、ETC未搭載の車が誤ってETCレーンに入ってしまい、急停車したりする可能性があるためです。
また、料金所の係員が、緊急時にETCレーンを横切ることもあるので、思わぬ事故やトラブルを避けるためにも、必ず速度を落とすようにしましょう。
ETCカードの利用履歴は確認できる?
ETCカードの利用履歴は、確認できるのでしょうか。
ETC利用照会サービス
ETCカードの利用履歴は、ETC利用照会サービスで確認できます。また、利用証明書や利用明細の印刷も可能です。
なお、ETC利用照会サービスを利用するには、以下の情報を登録する必要があります。
- ETCカード番号
- 車載器管理番号(※)
- 車両番号
- 直近のETC利用年月日
(※車載器管理番号とは、ETC車載器ごとに付けられている19桁の番号のことです。ETC車載器セットアップ申込書や、車載器本体のラベルなどから確認できます)
車載器管理番号の確認方法について | ETC利用照会サービス
料金所で領収書をもらう方法
料金所で領収書や利用証明書をもらいたい場合は、高速道路を出るときに、有人レーンに向かいましょう。料金所の係員にETCカードを渡して精算してもらうと、領収書が受け取れます。
ETCカードを紛失してしまったら
もし、ETCカードを紛失してしまった場合は、どうすればよいのでしょうか。
すぐにカード会社に連絡
ETCカードを紛失した場合は、すぐにカード会社に連絡をして、利用を停止してもらいましょう。クレジットカードの紛失・盗難用ダイヤルは、24時間対応しています。
ただし、ETCパーソナルカードを紛失した場合は、カード会社ではなく、ETCパーソナルカード事務局に連絡します。
ETCカードは、利用時に暗証番号を入力する必要がなく、悪用される可能性が高いので、早めに対応することが大切です。
ETCカードを紛失したり、盗難にあったりした場合はどうすればよいですか? | NEXCO中日本 コーポレートサイト
ETCカードを紛失、盗難された場合の手続きを教えてください。 | よくあるご質問| 暮らしのマネーサイト
必ず警察にも届け出る
ETCカードを紛失した場合は、カード会社だけでなく、必ず警察にも届け出るようにしましょう。
なぜなら、ETCカード再発行の手続きの際に、警察に紛失届を提出したときに発行される、『届出番号』が必要になることがあるからです。
また、紛失したETCカードを悪用された場合、カード会社の盗難保険によって補償が受けられるようになっています。しかし、警察に届け出ていないと、保険適用外になることがあります。
盗難保険が適用されないと、被害に遭った金額分が、すべて自己負担になる可能性もあるので、必ず警察に届け出ておきましょう。
ETCカード付きクレジットカード厳選3選
ETCカードが発行できる、おすすめのクレジットカードを紹介します。
最短即日発行のセゾンカード
急ぎでETCカードが欲しい人には、最短即日発行の「セゾンカード」がおすすめです。
項目 | 詳細 |
年会費 | 無料 |
国際ブランド | VISA・Mastercard・JCB |
ETCカード | 年会費・発行手数料無料 クレジットカード1枚につき、5枚まで発行可能 |
「セゾンカード」は、セゾンカウンターで発行をおこなうと、最短即日でクレジットカードとETCカードが入手できます。
ポイントがざくざく貯まる楽天カード
「楽天カード」は、ポイント還元率を重視する人におすすめです。
項目 | 詳細 |
年会費 | 無料 |
国際ブランド | VISA・Mastercard・JCB |
ETCカード | 年会費500円(税抜)・発行手数料無料 クレジットカード1枚につき、1枚発行可能 |
楽天ETCカードを利用すると、高速道路料金100円につき、楽天スーパーポイントが1ポイント貯まります。
頻繁に高速道路を利用する人であれば、多くのポイントを貯められるので非常にお得です。
無料で安心のイオンカード
「イオンカード」は無料でETCカードが発行でき、万が一の補償もついている安心のクレジットカードです。
項目 | 詳細 |
年会費 | 無料 |
国際ブランド | VISA・Mastercard・JCB |
ETCカード | 年会費・発行手数料無料 クレジットカード1枚につき、1枚発行可能 |
「イオンカード」は、年会費・発行手数料無料でETCカードが発行できます。さらに、ETC車載器の不具合などで料金所のバーが開かず衝突し、車が損傷した場合には、年1回・一律5万円の見舞金が支払われます。
まとめ
ETCカードは、自動で高速道路料金の精算をおこない、通行をスムーズにするためのものです。
クレジットカードの付帯カードとして発行されるものや、デポジットを支払って、ETCカードのみを発行するものなど、いくつか種類があります。
また、利用額に応じてクレジットカードのポイントが貯まるものや、事故の際の保険が付帯しているものなどがあるので、自分に合ったETCカードを見つけましょう。